トロフィー1つとメダル1個 ～小僧編～

一方空手の大会を欠場して、野球に専念している小僧はというと…

去年の11月の大会で、めちゃくちゃ打ちまくっていた人は誰？というほどの打撃不振でボテゴロの連発。
それでも極めて足が速いので、内野安打と焦った相手のエラーが記録されて出塁率は結構高いのが救いだ。

今大会は小僧だけでなく、チーム全体が打撃不振のようだが、何だかんだと投手戦ならぬ貧打戦を勝ち上がり、決勝へ進出した。相手は宿敵ＣＵのＡチーム、過去の対戦成績も五分五分の市内のライバルチームであり、ここ2年で6回連続で決勝戦は、同じカードだ。

4月29日の準決勝の後、見るに見かねてバッティングフォームをいじった。とにかく脇が開いてボールの上っ面を叩いてしまうので、スイングの起動を変更した後、バッティングセンターへ行って、脇を締めた状態で肘から上を縛って打たせた。これはタイガースのルーキー藤川俊介がやっていた矯正方法なのだが、これが小僧にもビタッと嵌って、1球目から真芯で捉えるようになった。嘘みたいに効果が出たこの方法でしばらく打ち込ませたところ、だいぶ修正できたようで、決勝戦当日の直前練習では、弾丸ライナーで『段載せ』（いわゆる柵越え：小僧の小学校ではホームランゾーンは一段高くなっているので、そこまで飛ばすことを『段載せ』という）を連発していた。何とか間に合ったかな…
しかし本人としてはこの大会、【良くない】というイメージからか、思考がネガティブに走っていたようだ。
決勝戦直前、前に行われていた３位決定戦の終盤。グランド入りのタイミングを待つ間に顔面蒼白の極度の緊張状態に陥っていた。空手の大会でもピアノの発表会でもブラスバンドのコンサートでもあまり緊張しないのに、何故か野球とマラソン大会だけは、いつも直前に猛烈に緊張してしまうらしい。
今回は3代越しの悲願の優勝をかけた試合のせいか、さらに緊張したらしく、応援に来ていた前監督の檄に泣き出してしまった？
背後から腹式呼吸の声がけをしていた私は、一瞬何が起きたのか判らず動揺したが、泣いてるのが判って（悪いけど）笑っちゃった…
前監督に「俺が決めてヒーローになるって気持ちで試合に出ないと始まんないだろ！」と喝を入れられてグランドへ入っていったが、大丈夫だろうかとちょっと心配になった。

さて、チームは野球肘から戻ってきたメンバーが決勝戦に間に合い、ベストメンバーでプレイボール。小僧は7番レフトで先発。そしてゲームの流れはいきなり小僧に襲い掛かる。
1回の表、1アウトランナー無しから、ハーフライナーが左中間に飛んだ。小僧は落下点に入ったもののこれをファンブルして落球してしまう。ここから2アウト満塁までチャンスを拡げられ、何やってんだぁ！と親父は怒りモードに突入したが、エースが踏ん張って無得点で切り抜けてくれた。
しかし、後からビデオ見ると、左打者のためラインより浅めに守っていた小僧からは結構遠い打球（センターの方がぜんぜん近いじゃん）。難なく追いついた様に見えたのは、小僧の足と抜群のスタートのおかげだったことが判明。応援席の指導陣からもOKと言われてたのが、ビデオ見て納得。

2回もこちらの守備のミスから出塁を許し、さすがに2回目は相手も見逃してくれず1点先制されてしまう。
しかしその裏、この日絶好調の6番ライトが、初めての出塁を3塁打でチャンスメーク。
最初のチャンスでいきなり回ってきちゃったよ小僧に！しかも2アウトで…
ゲームの流れ的には、ここですかさず同点にできるかどうかが、非常に大きい大事な局面。最低でも1点、四死球と振り逃げ以外で出塁して欲しいところだ。ポンポンと追い込まれ、2-0から2‐2まで粘っての5球目。

鋭い打球がピッチャーの頭上を抜けていった。センター前に同点タイムリーだ！
これでベンチも応援席も一気に盛り上がった。いやーよく打ったね。これで一気に緊張もほぐれたのか、動きに軽さが出てきた。
その後、2点取られたが、3点取って逆転し、7回の表2アウトランナー無し。
あと一人で優勝というところまできた。1点差で迎えた最終回の2アウト。あと一人なのだが、一人ランナーが出ると一気に大ピンチになってしまうこの場面で、またも野球の神様は小僧を選んだ！
カッキーン！低いライナーがサードの頭を超えていく。応援席から歓声と悲鳴があがる。結構きわどい打球にスタート良く飛び出した小僧が低い姿勢で突っ込んで来て、殆ど片膝をつきながらウイニングボールをグラブに収めた。そしてそのまま右手の人差し指を天高く突き上げてホームへ走ってくる！
試合終了！見事にライバルチームに競り勝っての優勝だ。緊迫した良い試合だったが、見てる方もドッと疲れた。
ゲームセットの声を聞いた後応援席に挨拶に来た小僧は、試合前とは全くの別人だった。

閉会式では優勝カップを受け取り、超ご満悦状態。イイ笑顔だ！


そのあとの祝勝会が大盛り上がりだったのは言うまでも無い。準優勝と優勝じゃえらい違いだよ。


やっぱりメダルは金がイイね！